世の中の仕組みって、そう簡単には変わりませんね。
ささくれ立った気分に折り合いをつけてくれるような、人情味あふれる作品です。
『殿、利息でござる!』は
2016年に公開された、日本映画です。
監督は、中村義洋。
出演は、阿部サダヲ、瑛太、妻夫木聡、竹内結子、山崎努ほか。
江戸時代中期の、仙台藩。
小さな宿場町の吉岡宿は、タチの悪い仕掛けにハマって、困窮していました。
造り酒屋の穀田屋十三郎は、決死の思いでお上に直訴しようとします。
茶師の菅原屋篤平治が、とっさに機転を利かせますが・・・。
「タチの悪い仕掛け」って?
その昔、主な街道には宿が設けられていました。宿駅とか宿場といわれるものですね。
宿場町といっても、吉岡宿に暮らす人々のほとんどはお百姓さんでした。
けれども、立地的に田畑が少ないので、半分は商いで生計を立てています。
宿場町には、賑やかなイメージがありますが・・・。
吉岡宿は、どういう巡り合わせなのか、景気がすこぶる悪かった。
極めつけに、仙台藩から伝馬役(てんまやく)という使命を負っていたのです。
破産する人や夜逃げする人が相次ぎ、ますます景気が悪くなる、負のスパイラルに陥っているのでした。
「伝馬役」って?
街道を往来するお上の物資を、隣の宿場から引き継ぎ、次の宿場へと運ぶお役目、のこと。
そのための馬や人足の手配など、全ての運営・経費負担は、お上ではなく、宿場に暮らす人々だったのです。
お上の物資を運ぶため、自分たちのお金で馬を買い、育て、荷物を運んでくれる人を雇ってお給料を払わなければなりません。
なんたる理不尽。
打ち首覚悟で立ち上がる!
吉岡宿の人々は、知恵をしぼり、策を練り、心を尽くして、奔走します。
さまざまな思惑、険しい道のり。
あっと驚く展開に、笑ったり、くやしくなったり、思いがこみ上げて泣きたくなったりしました。
理不尽なことは、いつだって誰にだって、残念ながら起こります。
エンディングに流れる、RCサクセションの「上を向いて歩こう」も、心に強く残りました。