多芸多才なキャストがスクリーン狭しと駆け回る所も、『翔んで埼玉』の魅力のひとつだと思いませんか?
主人公のみならずいろんな状況に置かれてるさまざまな人々が、物語の中で生きている。
とても興味をかきたてられます。
たとえば岡山天音さんが演じる、猿橋。
出演シーンは少ないけれど、強烈な印象を受けました。
インパクトのある俳優さんが、勢ぞろいしてる『翔んで埼玉』。
岡山天音さんが演じる猿橋の、一挙手一投足に目が釘付けになりました。
『翔んで埼玉』の、あらすじ。
『翔んで埼玉』は大きく分けて、ふたつのパートで物語が展開します。
ひとつは菅原さんファミリーを中心とした、現代パート。
もうひとつはカーラジオから流れる、都市伝説パート。
ふたつのパートをつなぐのが、ラジオのDJなんですね。
この構成、わかりやすいし、メリハリがついて、私は嫌いじゃありません。
現代パート
埼玉県在住の、菅原さんファミリー。
東京都内へ向かう車中、カーラジオから流れてきた、埼玉にまつわる都市伝説をつい聞き入ってしまいます。
都市伝説パート
時は、19XX年。
埼玉から東京へ行くためには、通行手形が必要でした。
手形は入手困難ですし、常に携行してなきゃなりません。
SATと呼ばれる、武装ガードマンによる埼玉狩りが横行する東京都内。
埼玉の人々は長年に渡り、ひどい扱いを受けていました。
そんなある日。
麻実麗(あさみ れい)という若者が、都内の超名門校に転校してきます。
麻実家は東京・丸の内の大実業家で、御曹司の麗はアメリカ帰りの帰国子女。
白鵬堂学院の3年A組に、男子生徒が仲間入りするのは久しぶりのことでした。
2年生の檀ノ浦百美(だんのうら ももみ)は、白鵬堂学院の生徒会長であり、東京都知事の息子でもあります。
百美は、都会指数の高そうな麗を、取り巻きの一人にしようと考えました。
ところが、無礼を働いた麗に、怒り心頭に発する百美。
一方、麗は編入初日からガッカリしていました。
都会指数。
お高くとまった東京都民。
人より劣った者として扱われる埼玉出身者。
麻実麗は、重大な使命を帯びていたのです。
麗を毛嫌いしていた百美ですが……。
おもなキャストは、こちら。(役名:俳優名)
壇ノ浦百美:二階堂ふみ
麻実麗:GACKT
阿久津翔:伊勢谷友介
下川信男:加藤諒
おかよ:益若つばさ
東郷:鈴木勝大
岩村:福山翔大
猿橋:岡山天音
菅原好海:ブラザートム
菅原真紀:麻生久美子
菅原愛海:島崎遥香
五十嵐春翔:成田凌
壇ノ浦建造:中尾彬
神奈川県知事:竹中直人
西園寺宗十郎:麿赤兒
埼玉デューク:京本政樹
猿橋が活躍するのは、都市伝説パートです。
わずかな出番、セリフも少ない猿橋ですが。
そのインパクトたるや、たいへんなものでした。
何もしゃべってないのに、猿橋から目が離せない。
そんな場面が多々ありました。
右往左往してるのかな?
それとも、敵の動向を探ってる?
話が見えなくて、呆然としてるのかな?
それとも、全力で耳を傾け、把握しようとしている?
目は口ほどに物を言う、という言葉がありますね。
岡山天音さんの表情は、口ほどに物を言う。
言葉に出さなくても、全身で何かを伝えようとしているように見えました。
西園寺宗十郎の部下、猿橋。
猿橋は、西園寺宗十郎の部下なんです。
一大事が起こった時も側近くに仕えていたので、側近なのかもしれません。
西園寺宗十郎を演じたのは、全身白塗りの麿赤兒さん。
さすが、暗黒舞踏の巨匠。迫力満点です。
所沢のお城に住んでる西園寺宗十郎が、SATに急襲されるシーン。
麿赤兒さんと岡山天音さんの二人芝居とも言えるんですが、猿橋から目が離せません。
部屋に催涙ガスが投げ込まれ、敵の声が近づきます。
警戒している様子の猿橋が、立ち上がって右往左往しているようにも見えますし。
外の様子を窺ってるようにも見えるんです。
どっちかな?
そう思った矢先のこと、宗十郎に名前を呼ばれた猿橋。
サッと反応、片膝をつき、指示を待ちます。
おお~。
大事な頼みごとをしたくなる腕利きの部下なんだなって納得できる、名場面でした。
「捜し回って……ようやくです……」
猿橋は、旦那さまからのお預かりものを、麻実麗に届けます。
さぞかし大事な届け物だったのでしょう。
疲労困憊、すさまじい勢いでぶっ倒れる猿橋。
大玉のスイカくらいのポータブルテレビを背負ったまんま。
ケガしていないか心配になりますが。
猿橋は、息も絶え絶えに包みを開封、律儀に頭を下げるんです。
おお~。
考え込むように目を伏せたあと、核心をつく猿橋。
麗と東郷と岩村は、衝撃的な内容を伝えるビデオが消滅したあと、更に衝撃的な会話を始めます。
宗十郎のメッセージをビデオに収めたのは、猿橋だと思うんですよね。
旦那さまの思い、なにがなんでも伝えなければ。
おそらく麗さまは、大きなショックを受けるだろう。
自分にできること、何かあるだろうか。
猿橋は、命がけで捜し回りながら、頭の中でロールプレイングしてたんじゃないでしょうか。
ひょっとしたら、大きなショックを受けたのは猿橋の方かもしれません。
東郷の言葉を聞いて、「ほ~」という風に、コクコクうなづいて。
岩村の発言を聞き、真顔になって、やっぱりコクコクうなづきました。
猿橋の表情は、彼らの話が進むにつれて、ギョッとしたり、納得したり、ビックリしたり。
話が見えなくて、困ってるようにも見えますし。
情報を整理して、情勢を把握しようとしてるようにも見えました。
猿橋の、自信なさそうにムニャムニャっと核心をつくところも必見です。
個性あふれる人々が多数登場する『翔んで埼玉』。
あなたは、どのキャラクターに惹かれますか?
『翔んで埼玉』の、スタッフ・製作年など。
【監督】武内英樹
【脚本】徳永友一
【原作】魔夜峰央『このマンガがすごい!comics 翔んで埼玉』
【音楽】Face 2 fAKE
【撮影】谷川創平
【照明】李家俊理
【編集】河村信二
【美術】棈木陽次
【装飾】竹原丈二
【衣装デザイン】柘植伊佐夫
【衣装】田中まゆみ
【製作年・国】2019年、日本。
【出演】二階堂ふみ、GACKT、伊勢谷友介、ブラザートム、麻生久美子、島崎遥香、成田凌、加藤諒、益若つばさ、鈴木勝大、福山翔大、岡山天音、間宮祥太朗、小沢真珠、神戸浩、武田久美子、中尾彬、麿赤兒、竹中直人、京本政樹ほか。
猿橋は、出番もセリフも少ないんですが、とても印象に残りました。
ほかにも、たとえば……。
伊勢谷友介さんが演じた、阿久津翔。
原作には登場しないんだけど、なくてはならないキャラクターだと思います。