かけがえのない地球を。
美しいホワイトプラネットを。
私は次の世代に、正しくバトンタッチできるでしょうか・・・。
『ホワイト・プラネット』は
2006年に作られた、フランスとカナダの合作映画です。
監督は、ティエリー・ラゴベール、ティエリー・ピアンタニダ。
製作は、ステファン・ミリエール、ジャン・ラバディ、ジャン・ルミール。
音楽は、ブリュノ・クレ。
ナレーションは、ジャン・ルイ・エティエンヌ。
(私が観たのは、宮崎あおいが、日本語吹替ナレーションしたものです。)
北極のいまの姿と、そこで生きている動物たちを、ありのままに描写した、ドキュメンタリー映画です。
撮影は、2004年の春。
カナダ北東部のバフィン島で、始められました。
映画は、これから長い冬を迎える北極の映像から、始まります。
初めて観ました。
「ホワイトプラネットを求めて、北へ。
数ヵ月にも渡る、地の果てへの旅。
どこまで歩いても、ブリザードが吹き荒ぶ。
ここは、氷の砂漠」
冒頭のナレーションです。
宮崎あおいさんの声は、雪景色に合いますね。
『神様のカルテ』シリーズの、信州の美しい冬の風景や、雪山で撮影するシーンを、思い出しました。
なるべく厚着をしたのですが、心の奥底から冷えてきます。
白くて青い氷の世界、ホワイトプラネットは美しい。
しかし、厳しく、残酷でした。
北極の秘密
ナレーションは続きます。
「でも。
耳を澄まし、目を凝らすと、ホワイトプラネットは、秘密を教えてくれています」
画面の中では、メスのホッキョクグマが、巣籠もりの準備を始めました。
雪を削って、巣穴を掘ります。
生後まもないクマの赤ちゃんと、慈しむような母グマが、かわいい。
どうやって撮影したのでしょう。
貴重な映像の数々が、ほんとうに素晴らしい。
子グマが世界と出会う瞬間。
そして、春になり。
「100日間、何も食べず、こどもに乳を与え続けた母グマが、3月の陽射しに誘われて、穴から出てきました。
それは、子グマが世界と出会う瞬間です」
丸っこいホッキョクグマのこどもが、2頭なかよく、じゃれ合っています。
何度だって言います。かわいい。
子グマよ、なぜ乗っかりあう。かわいい。
元気に走り回る子グマの後ろには、ガリガリに痩せた母グマ。
離れたところに、腹ペコそうなオスグマの姿が見えました。
長い冬は、まだ終わりを告げていません。
オスグマの心境が伝わって来るようです。
オスグマを警戒する母グマ。
同じように腹ペコで、危険をも感じているでしょうに・・・。
無邪気な子グマの可愛らしさが、観ている私の心を、グサグサと刺します。
「狩りは、滅多に成功しない」
「ここは、不確かな世界。
完全な陸でもなく、完全な海でもない」
「クマは狩りをする氷原がなければ、生きていけません」
まだまだ序盤です。
このあと、さまざまないきものたちが懸命に生きる姿を、カメラは追い続けます。
遠く北の果てから聞こえるもの。
ラストのナレーションも、忘れられないものでした。
「北極の氷原は、地球の温暖化に伴って、年々小さくなっています。
その原因をつくっているのは、私たち人間です。
このままでは、今世紀中に氷原が消滅する恐れもあり、そうなれば、多くのいきものも犠牲となるでしょう。
遠く北の果てから聞こえるのは、クマの泣き叫ぶ声。
ホワイトプラネットを消さないで、と」
外国映画は字幕版で観ることが多いのですが、美しいホワイトプラネットを、この目にしっかり焼き付けることができました。