映画【パターソン】「aha」とは?誰が何回口にした?

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永瀬正敏さん演じる、日本の詩人
「aha」をリズミカルに操り、パターソンの詩人を復活させた、といっても過言ではないのでは!?

出会ったばかりの人物の、気持ちをくみ取る魔法の言葉のような「aha」
そのインパクトは強烈で、頭から離れません。

どんな意味が込められてるのか考えてみました。

『パターソン』って、どんな映画?

ニュージャージー州パターソンに住む、パターソンという名を持つ人の、月曜日からの一週間、一見なんの変哲もない日々の暮らしを描いた映画です。

朝、目を覚まし。
かたわらに置いた腕時計で時間を確認。
隣で眠る最愛のパートナーであるローラに、おはようのキスをする。

パターソンは、ともすると、ありきたりの規則正しい生活を送ってるふうに見えるんです。
けれども当然、小さな変化は毎日のように起こるもの。

基本的には何事も、肯定的に受け止めるパターソン。
週末が近づくにつれ、なんとな~く不穏な雰囲気に包まれます。

『パターソン』は、穏やかな日常の中の小さな幸せこそが素晴らしい贈り物だとユーモラスに描いてる、心あたたまる映画だと思います。

おもなキャスト(役名:俳優名)

Paterson(パターソン):ADAM DRIVER(アダム・ドライバー)
Laura(ローラ):GOLSHIFTEH FARAHANI(ゴルシフテ・ファラハニ)
Marvin(マーヴィン):NELLIE(ネリー)
Donny(ドニー):RIZWAN MANJI(リズワン・マンジ)
Doc(ドク):BARRY SHABAKA HENLEY(バリー・シャバカ・ヘンリー)
Marie(マリー):CHASTEN HARMON(チャステン・ハーモン)
Everett(エヴェレット):WILLIAM JACKSON HARPER(ウィリアム・ジャクソン・ハーパー)
Method Man(メソッド・マン):CLIFF SMITH(クリフ・スミス)
Japanese Poet(日本の詩人):MASATOSHI NAGASE(永瀬正敏)

誰のセリフ?

映画の終盤、突如として出現した日本の詩人
まるで決めゼリフのごとく口にする「aha」。
たいへん印象的でしたので、ざっと数えてみました。

おや?
はっきりと聞き取れたのは、わずか3回
そんなに連発していないのに、どうして心に残るのでしょう。

ちなみにパターソンの方は、少なくとも2回つぶやいてます。

どんな状況で「aha」と?

日本の詩人のセリフといったら、やっぱり「aha」。
そう思ってたんだけど。
実は、そんなに言ってませんね。

日本の詩人が、初めて言ったとき。

Japanese poetとパターソン、とあることから意気投合。
偉大な詩人の話題で盛り上がります。

日本の詩人が、ニューヨークの詩人フランク・オハラについて語ると。
パターソンは「彼はNY派だ」と応ずるんです。

その時でした。
Japanese poetは、とっても嬉しそうというか、満足そうに「Aha!」って言いました。

そう言われたパターソンの、怪訝そうな、呆気にとられたような顔が何とも言えません。

日本の詩人が、二度目に言ったとき。

あっという間に打ち解けた、日本の詩人とパターソン。

パターソン市を訪れた理由を訊かれた、Japanese Poet。
ニュージャージー州パターソンに縁のある、W・C・ウィリアムズの話を持ち出します。

パターソンのお気に入りの滝に縁の深い詩人でもある、ウィリアム・カーロス・ウィリアムズ。
彼が医者でもあったことを、パターソンが話した時でした。

日本の詩人は、満面の笑みを浮かべて「aha!」って言うんですよね。

パターソンが、初めて言ったのは?

日本の詩人の反応を見て、笑ってしまったパターソン。
この時とうとう「”aha”って何だ?」って、口に出してしまうんです。

ふたりが、最後に言ったとき。

別れ際の一言は、それはそれは心に深く残る名言・名シーンだと思います。

日本語に訳すなら?

aha」をカタカナにすると、「アーハー」でしょうか。

辞書で調べてみました。

どうやら「aha」には、2つの意味があるようです。

1:「はは!」「へへ!
(驚き、喜び、あざけり、皮肉などを表した言葉。)

2:「わかった!」「なるほど!
(相手の言わんとしていることが、理解できたことを示す言葉。)

「理解する」って、どういうこと?

「理解できた」「理解する」って、具体的にはどういう意味かな?

相手の立場や気持ちをくみとること。

改めて調べてみまして、ちょっと嬉しくなりました。
辞書によって、さまざまな解釈があるようですが。

「aha」とは、相手の気持ちをくみ取って、正しく理解した上で、同じ考えだと意思表示する言葉なんだと、私は思います。

パターソンが「なるほど」とか「分かるよ」とか「その通りだ」って言うシーン、いくつかありましたよね。
どれも「aha」ではなくて。
それを耳にした日本の詩人は、曖昧な表情を浮かべてるように見えました。

パターソンが、最後につぶやいた「aha」。
日本の詩人には聞こえなかったと思いますが、きっと心に届いてるって信じてみたくなりました。

『パターソン』は、2016年に作られた、アメリカ・ドイツ・フランスの合作映画です。

【監督・脚本】ジム・ジャームッシュ
【撮影監督】フレデリック・エルムズ
【編集】アフォンソ・ゴンサルヴェス
【衣装】キャサリン・ジョージ
【サウンドデザイン】ロバート・へイン
【音楽】SQÜRL
【詩】ロン・パジェット

【出演】アダム・ドライバー、ゴルシフテ・ファラハニ、永瀬正敏、リズワン・マンジ、バリー・シャバカ・ヘンリー、チャステン・ハーモン、ウィリアム・ジャクソン・ハーパー、クリフ・スミス、ネリーほか。

日本の詩人の「aha」だけでなく。
「Paterson, New Jersey」の反復も、リズミカルで、とても好きです。
詩を書く心境じゃなくなって、パターソンの詩人じゃないと言ってたパターソン。
ラストの展開は、一条の光を見るようで、嬉しいかぎりでございます。
それから、これも私の勝手な解釈ですが……。
ジム・ジャームッシュ監督は、ニュージャージー州パターソンから一歩も出ない、ロードムービーを撮ったのかなぁ。素敵だなぁ。