大切な友に「心の豊かさを失ってはダメ」と告げる、アンディ。
素晴らしい。
その直前の言葉も、心に響くものでした。
『ショーシャンクの空に』の、あらすじ。
アンドリュー・デュフレーンは、終身刑で服役中の囚人です。
彼がショーシャンク刑務所に入所したのは、1947年でした。
罪人の日常は、悪夢のよう。
誰かの自由を奪った彼らに、自由な気分を味わうことなど許されません。
時は流れていき、アンディは図書係に配置転換されます。
彼は、優れたファイナンシャル・プランナーでもありまして。
所長や刑務官たちは、アンディの能力を利用して、無料で財テクの知恵を借りようとしたのです。
物置のような図書室には、わずかな蔵書しかありません。
アンディは、資産運用の相談に乗る一方で、新しい本を増やそうとしました。
彼は週に一度、州議会に手紙を送り続けます。
6年が経ち、ようやく返事がきました。
200ドルの図書室用の予算と、中古図書の寄贈と、粋なメッセージ。
アンディは、寄贈されたレコードの中から、一枚選びます。
プレイヤーに乗せ、針を下ろし、刑務所中に聞こえるようにスイッチを入れ。
心が震えるぐらい美しく豊かな歌声が、優しく響き渡ります。
屋内で作業してたり、診療所にいたり、屋外にいた罪人たちも皆、自由な気分を味わいました。
もちろん、所長は激怒。
アンディは、すぐ捕まってしまうのですが……。
アンドリュー・デュフレーン(ティム・ロビンス)
信じがたいほど冷酷な人間。
アンディの裁判を担当した判事は、こう言いました。
弱々しい、長身のお坊っちゃん。
のちに友人となる、レッドの第一印象です。
ティム・ロビンスが演じた、アンドリュー・デュフレーンは謎めいた人物でした。
銀行員だったことは確かなようですが、ほんとうに大銀行の副頭取だったのかな。
殺人罪で投獄されましたが、アンディは無罪を主張しています。
刑務所の調達屋であるレッドは、入所まもない頃のアンディについて、こんなことも言ってましたね。
打ち解けようとしない彼は、気取って見えた。
まるで公園でも散歩するかのように、塀の中を歩く。
新入りは、初日の夜に泣くショーシャンク。
アンディは1日目の晩も、入所して1か月たっても、静かでした。
彼の頭の中や心のうちには、音楽が流れていたのでしょうか。
初めて登場したときのアンディは、心に傷を負い、憎悪に満ちた眼をしていました。
物語が進むにつれ、穏やかに見えたり、確固たる信念を持ってるように感じたり。
映画を観るたび、いろんなことに気づかされるんです。
地獄のような穴蔵から帰還した、音楽家さんの名言。
懲罰房に2週間、入れられたアンディ。
仲間のところへ戻った彼は、おどけたように「快適だった」と答えます。
「音楽を聴いてた」
「I had Mr. Mozart to keep me company……」
直訳するなら、モーツァルト氏に付き合ってもらってた、でしょうか。
字幕では「音楽を聴いてた」でしたね。
「聞く」じゃなくて「聴く」なのも、素敵だなぁ。
懲罰房に入れられる原因となった、音楽。
レコードが入った木箱の中から、アンディが選んだのは『フィガロの結婚』でした。
その一枚を見つけて、大切そうに手に取るアンディ。
彼の表情が、ほんとうに素敵なんです。
目をキラキラ輝かせて、いたずらっ子みたいにニコニコして。
とても晴れやかな表情で、彼は泣いてないのに、もらい泣きしそうになりました。
映画の冒頭。
アンディは、カーステレオから流れる音楽を止めましたね。
あのとき、正気を失ったのかもしれません。
「心の豊かさを失っちゃダメだ」
アンディの言葉は、心が震えるぐらい響きました。
『ショーシャンクの空に』の、スタッフ・キャスト・製作年など。
【監督・脚本】フランク・ダラボン
【原作】スティーヴン・キング『刑務所のリタ・ヘイワース』
【音楽】トーマス・ニューマン
【出演】ティム・ロビンス、モーガン・フリーマン、ウィリアム・サドラー、ジェームズ・ホイットモア、ボブ・ガントン、クランシー・ブラウンほか。
【製作年・国】1994年、アメリカ。
【原題】『The Shawshank Redemption』