映画【レンタネコ】嘘つきハッタリの吉沢くんはどうして猫を借りなかったのか

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田中圭さんが演じるのは、吉沢茂
主人公の、中学のときの同級生です。
貸してもらえそうだったのに、彼は猫を借りませんでした。

吉沢くんは、とある組織に追われてますし、ビールだって飲んじゃいます。
人間なのは間違いない、はずなんだけど。

もしかしてうそつきはったりの吉沢くんは、猫だったのかもしれません。

またね

はじめは、吉沢くんはもう、この世にはいないのかもしれないなって思ったんです。

だけど、それじゃあまりにも悲しすぎる。

サヨコは、彼に「またね」って直接伝えていませんし。
二度と会わないとは限らないんじゃないのかな。

突然あらわれた同級生を、警戒しまくるサヨコ。
そんな彼女とは対照的に、まったく警戒しない猫たち。

会って間もない吉沢くんに、おとなしく撫でられてる女の子のネコ
その様子を眺めていたら、だんだん彼が、大きな茶トラのように見えてきました。

気配を消す能力

いつの間にか、庭先に立ってた吉沢くん。

おつかいに行くときや、おつかいから戻ってきたときは、気配を消したりしないのに。

吉沢くんは、やって来たときと同様に、どこかへフッと消えたみたいに帰ってしまうんです。

気配を消す能力、高すぎませんか。

体をほぐす仕草

庭に出た吉沢くんは、いくつかサヨコに質問します。
彼にとって、とても重要な意味を持つ問いかけも含まれてました。

面食らったサヨコは、あいまいなことを言って、逃げるように縁側へ戻ってしまう。

彼女からは見えない、そのときの吉沢くんの顔が、私は忘れられません。
取り残されてしまったような、拒絶されて悔しいみたいな、複雑な表情でした。

そして、体をほぐすように小さくストレッチして、なんでもないように歩きだすんです。

くるくる変わる表情も魅力的な吉沢くん。
だけどここぞというタイミング、彼がどんな顔してるのか、見せてくれませんでしたね。

ヨーヨー

「帰る家ない」って呟いた吉沢くん。
まぁ、嘘ハッタリかもしれませんが……。

なんで彼はヨーヨー持ち歩いてたんだろう?
見たところ、ほかには何にも持ってません。
川沿いの遊歩道ですれ違った時から、身軽な彼の持ち物はヨーヨーひとつのようでした。

彼はサヨコに「いいとこ住んでんね」って言うんだけど。
彼女の家のなか見回して「盗るもん、な~んにもない感じ」とも言いました。

風鈴を見上げるまで、ずっと持ってたヨーヨーを、縁側に置いたまま帰ってしまった吉沢くん。

置き忘れたのか、わざと置いて帰ったのか。
なんの意味もないのかもしれないけど、気になってしまいます。

猫の優しさでも埋められないもの

ほかにも仕事を掛け持ちしてて、年収1億だとホラを吹くサヨコ。
生活に困ってないのはホントのようで、レンタネコ屋は採算度外視。
稼げなくたって、いいんです。

気ままに楽しく暮らしてるように見えますが。
ふさぎようのない、心の寂しい穴ぼこに敏感なサヨコ。

ガリガリ君を食べ終わり、謎の隣人と話したあと、顔をグシャッと歪める彼女。

気を取り直したように立ち上がり、ポケットからヨーヨーを取り出す彼女。

この世界には、たくさんの救われない悲しみがあふれています。
ちょっと油断してると、いとも簡単に心の穴ぼこが開いてしまいますね。

おばあちゃんが死んだあと、サヨコの心に大きな穴がぽっかり開いてしまうのですが。
ふさぎようのない、心の寂しい穴ぼこを少しずつ埋めてくれたのは、猫たちでした。

この映画はフィクションです。
おとぎ話なのだから、サヨコが寂しくなったとき、吉沢くんがそばにいてくれたらいいのになって思いました。

『レンタネコ』は

2011年に作られた 日本映画です。

【監督・脚本】荻上直子
【出演】市川実日子、草村礼子、光石研、山田真歩、田中圭、小林克也ほか。

猫はレンタルするもんじゃない。だから吉沢くんは、借りなかったのもしれませんね。
たくさんの猫たちと暮らす女性との結婚。
けっこうハードル高そうだけど、吉沢くんなら軽々飛び越えられそう。
ファンタジーとはいえ、きっちりオツトメはたしたあと、帰ってきてくれたらいいな。