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忘れがたい名言がたくさん出てくる『鉄コン筋クリート』。
なかでも声に出して言いたくなるのは「安心、安心。」という言葉です。
気がかりで、心配で、気持ちが落ち着かないからこそ。
願うように繰り返されるんじゃないのかな?
ネコと呼ばれ、暴力と破壊の世界で生きている2人の少年。
いっぱい傷ついた彼らの今日が、どうか平和でありますように。
第一級ぐ犯少年、クロとシロ。
宝町に住みつくネコは、知る人ぞ知る有名人。
親兄弟を持たない彼らは、暴力を生活手段のひとつにしています。
警察から怖い人まで、ネコを知らない人間はよそ者あつかいされてましたね。
宝町にはデパートや、町立宝小学校もあるんです。
路面電車や高速道路、ずっと遠くの街まで続く鉄道だってありますね。
なんでもあるし、どこへでも行けるんだけど。
ふたりの少年、クロとシロには足りないモノがいっぱいあって……。
行かないトコロと行けないトコロも、ありました。
「あんしん、あんしん。」
映画の中で、少なくとも8回は登場するこの言葉。
そのほとんどは、シロによるものなんだけど……。
クロが、闇の気配を感じつつ、穏やかなトーンでシロに声をかける場面。
彼の姿が、私の心をとらえて放してくれません。
中盤のクロ
別の街に住んでた悪ガキから、殺し屋の話を聞いたクロ。
ついでに、頭が牛とか言うガキについても話します。
クロは考え込むことが増えますし。
シロは「胸んトコロ」が「ヤな感じ」して苦しそう。
おしゃべりしながら、お絵描きしてたシロが突然、息を詰めるんです。
クロは、彼に背中を向けて考え事をしてたんだけど。
とっさに振り返ったあと、シロに声を掛けました。
とても穏やかで、優しくて。
心がフッと軽くなるような声でしたね。
その声を聞いたシロ
クロに名前を呼ばれたとき、胸を押さえて無表情だったシロ。
みるみるうちに満面の笑みへと変わります。
背中を向けてたクロには分からなかったかも知れないけど。
おしゃべりしてる時から、ずっと浮かない表情だったシロ。
にこやかな笑顔で「あんしん!あんしん!」って言う場面、喜ばしいハズなのですが。
アングルが変わり、クロが浮かない顔して空を見上げてるシーンになりましたね。
この場面を初めて観たとき、なぜか泣きそうになってしまった私。
良い子とは言い切れない彼らですが。
クロとシロの住む世界。地球星が、とても平和で、安心で、幸多かれと願いたくなる結末でした。
『鉄コン筋クリート』は
2006年に公開された、日本のアニメーション映画です。
【監督】マイケル・アリアス
【声の出演】二宮和也、蒼井優、伊勢谷友介、田中泯、西村知道、宮藤官九郎、納谷六朗、大森南朋、本木雅弘ほか。
原作は、松本大洋の「鉄コン筋クリート」です。
イタチの正体が分かるまで、いいえ判明した後も。
クロの痛みや、シロへの想いが切なくて。
心のバランスが崩れていくネコを観てるの、とてもつらかったです。
クロが執着してたのは、街だったのか、シロだったのか。
二宮和也さんも蒼井優さんも、ほんとうに素晴らしい。