主人公のルームメイト、医学生のミッチ・ローマンに惹きつけられました。
これまで彼は、羨望なんて感じることなく育ってきたんじゃないでしょうか。
ミッチの目には、ふざけて遊んでるようにしか見えなかったパッチ・アダムス。
どれほど勉強しても、赤鼻をつけたピエロのほうが、自分より成績が上なんですよね。
もともと優秀で善良な青年の、心の動きをこまやかに表現するフィリップ・シーモア・ホフマン。
私にいざという時がきたら、ミッチのようなお医者さんに診てもらいたいって思います。
寮内の暮らしは、ほとんど描かれません。
ミッチとパッチが住んでるのは、学生寮。
医科大の寮は二人部屋で、彼らはルームメイトとして知り合います。
同じ勉強会に参加してる場面はあるけれど。
寮の自室で、一緒に勉強してるシーンはありませんね。
主人公は、キャンパス内のダイナーで親しい友人と語り合ったり。
大学病院で、患者さんや看護師さんと交流したり。
ミッチとパッチが自分たちの部屋で向き合う場面は、わずか二回しかありません。
不協和音と口ゲンカ
一度目は、二人の初対面のシーンです。
初めて顔を合わせたとき、うまく打ち解けられなかったミッチとパッチ。
授業がはじまり、科目試験で同じグループになったり、勉強会をしたり。
同じテーブルを囲む機会はありましたが……。
二度目は、言い争いしてしまうんです。
努めて平静を装うミッチは、心にバリアを張ってるようにも見えました。
とうとう抑えきれなくなって。
思ってること全部ぶちまける、彼の気持ちがひしひしと伝わってくるんです。
私は全然優秀じゃないのに、ミッチに共感してしまって、泣き出しそうになりました。
まるで憑き物が落ちたように、晴れやかに笑うミッチ。
ミッチ・ローマンは、脇役の一人です。
正直、出番は多くありません。
映画の終盤、頼られて嬉しそうだったり、喜んでアドバイスしたり。
どうしてそんなに晴れ晴れしいの?
理由はハッキリ分かるんですけど、過程をじっくり見たくなるほど、いい表情なんです。
『パッチ・アダムス』は
1998年に作られた、アメリカ映画です。
【監督】トム・シャドヤック
【出演】ロビン・ウィリアムズ、ダニエル・ロンドン、フィリップ・シーモア・ホフマン、モニカ・ポッターほか。
実は、この映画にフィリップ・シーモア・ホフマンが出演してるの、まったく意識してなかったんです。
観てよかったなぁ。
モニカ・ポッターも、とても魅力的でした。