【この世界の片隅に】すずさんを通して知る、ヒロシマで暮らしていた、一人ひとりの「日常」。

江波。中島本町。草津。
江田島。呉。上長之木……。

身近な場所にも、行ったことのない街にも、一人ひとりの日常があり。
時代や環境・生活習慣は違っても、私たちと同じように生きている人々がいました。


この世界の片隅に

焼け野原になる前の広島。

主人公のすずさんが幼い頃、おつかいに行くところから物語は始まります。

映画では、昭和8年12月。

その当時には、もうクリスマスサンタさんは珍しいものではなかったんですね。
年の瀬を迎えてにぎわう、広島の市街地はとても華やか。

原作では、昭和9年1月。

歳末商戦も祝賀ムードも描かれませんが、それでもなお活気のある広島の街

中島勧商場で、お菓子を手にしてる場面。
すずさんはミルクキャラメルを選んだんでしょうね。

お兄ちゃんと妹へのおみやげであり、自分へのごほうびでもあるのかな。
3箱のキャラメルとすずさんの幸せそうな表情から、至福の世界が感じられて忘れがたいのです。


この世界の片隅に : 上 (アクションコミックス)

原作は、こうの史代さんの同名漫画。

魅力的な街には、おそろしい人さらいもいましたね。

物騒なばけもんは、すずさんと周作さんとが出会うきっかけ。ある意味キューピッドと言えなくもないのですが……。

周作さん、すずさんにベタ惚れだなぁ。
映画を観た時も、原作の上巻を読んだ時も、私は勝手に浮かれておりましたのに。

映画では削らざるを得なかったエピソードにも、それぞれの事情が秘められてたんですね。

知ること、忘れないこと。

足元にも及ばないほど、ささいなことですが。
私にも、失った後になって気づいた、大切なものがあります。

私たちは、すべての不幸なできごとを、未然に察知して防ぐことはできません。
だけど、忘れなければ回避できる災厄もあるのではないでしょうか。

現実から目を背けてしまいそうになったとき、向き合う勇気を与えてくれる作品だと思いました。

『この世界の片隅に』は

2016年に公開された、日本のアニメーション映画です。

【監督】片渕須直
【出演】のん、細谷佳正、尾身美詞、稲葉奈月、小野大輔、新谷真弓ほか。


はろこ

こうの史代さんが描かれた産業奨励館や草花、暮らしの知恵やレシピには、温かみと迫力があふれていて、圧倒されました。
アニメ版の「楠公飯」のくだりで、馬をぱっから走らせてる楠木正成公もいいですね。イメージ変わりました。