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1945年8月9日の朝。
浩二くんが玄関で、靴を履きますよね。
映画の冒頭、ともすると見過ごしてしまいそうな、何気ないワンシーン。
なぜか心にひっかかって、ついつい深読みしてしまいました。
モノクロの画面。靴ひもの色が、左右で違って見えるんです。
「母さ~ん!」
大声で呼び掛けながら、急いで玄関に向かう青年。
二宮和也さん演じる、福原浩二くんは学生服を着ています。
遅刻しそうなんでしょうか。
ずいぶん焦ってるようにも見えますね。
玄関の、あれって何て言うのかな。
あがりかまち?
式台?
上がり口?に座り込んだ、浩二くん。
片方ずつ靴を履くんです。
まず、左足から。
光の加減でしょうか。
革靴だろうと思うんですが、靴も靴紐も真っ黒に見えます。
浩ちゃんが、靴紐に手を伸ばして初めて、「あぁ、靴紐あったんだ」と気づいたくらいでした。
すねの部分には、なんでしょう……ゲートル?
帯状になった布のようなものを巻いてますね。
モノクロ画面に映る左足は、学生服ほどではないけど、濃くて暗い感じに見えるんです。
白い靴下が印象的な、右足。
よっぽど慌てていたのかな?
たたきに両足を下ろしてる、浩二くん。
片方の靴を履いてる間、右足は靴下のままなんです。
左足と同じようにゲートルを巻いてるけど。
モノクロ画面に映る、白い靴下がまぶしい。
ポツンと置かれた靴の靴紐は、白く浮き出て見えるんです。
靴を履きながら、息子は母を気遣いました。
奥から出てきたのは、吉永小百合さんが演じる母、伸子さん。
浩ちゃんが左足の靴紐を結んでる途中から、カメラのアングルが変わります。
いつもと変わらない様子で、薬の飲み忘れしてないか声かけしたり、「いってきます」の挨拶したり。
手元は見えないので、私の勝手な思い込みだと思いますが。
浩二くん、右足の靴紐を結んでないんじゃないかしら。
そんなに急いで走ったら、片方の靴が脱げちゃうよ。危ないよ。
動き出した路面電車に飛び乗り、ホッと息をつく浩二くん。
その様子をみて、私もホッとしたんですが……。
黒ちゃんの靴
お母さん思いの浩二くん。
彼には、母にまさるともおとらないほど、愛している女性がいました。
黒木華さん演じる、佐多町子さんです。
映画の終盤、町子さんは重要人物とともに、福原家を訪問しましたね。
町子さんは、なれない場所で靴を脱ぐお手伝いをするんです。
ポツンと置かれた革靴は、右足のもの。
画面はカラーなんだけど、靴と靴紐が同化して、黒っぽく見えました。
その人は、黒っぽい靴下を履いてたんだけど。
光の加減でしょうか。
アキレス腱の辺りかな、細~くクッキリ白いラインが入ってるみたいに見えました。
『母と暮せば』は
2015年に公開された、日本映画です。
【監督】山田洋次
【出演】吉永小百合、二宮和也、黒木華、浅野忠信、加藤健一、橋爪功ほか。
伸子さんと町子さんが最後にハグした日、町子さんは和服姿でしたね。
履き物の鼻緒の、印象的な赤色が目に焼きつくようでした。
1945年8月9日 午前11時2分。もう二度と繰り返してはなりません。