春は、出会いと別れの季節ですね。
住み慣れた場所から離れたこと、おありですか?
YESのあなたは、もちろん。
NOのあなたも、この映画を観たら、涙してしまうかも知れません。
『パディントン』は
2014年に作られた イギリス映画です。
監督は、ポール・キング。
出演は、サリー・ホーキンス、ヒュー・ボネヴィル、マデリン・ハリス、サミュエル・ジョスリン、ジュリー・ウォルターズ、ニコール・キッドマンほか。
パディントンの声を演じたのは、ベン・ウィショーです。
原作は、マイケル・ボンドの『くまのパディントン』
脚本は、ポール・キング監督。
音楽は、ニック・ウラタです。
モノクロの映像が、流れます。
英国の探検家が、ペルーですごいものを見つけた、というニュースでした。
初めて見る新種のクマ。それも2頭。
しかも、なんとコミュニケーションを図ることに成功、友達になったと言うのです。
やがて。
探検家が、妻と娘の元へ帰る時が来ました。
「ロンドンに来たら、温かく歓迎するよ。
私は、クマから多くを学んだ。
彼らは私から、何か学んだろうか?」
ニュース映像は、ここで終わります。
それから、何年も過ぎ・・・。
ここが世界一、いい所なのに。
ルーシーおばさんから、台風坊やと呼ばれたクマ。
パストゥーゾおじさんとルーシーおばさんと一緒に、楽しく幸せに暮らしています。
オレンジが、いい香り。
やっと熟して、食べごろです。
ルーシーおばさんが作るマーマレードは、探検家のより美味くて・・・。
「いつかロンドンに持って行きましょ」
パストゥーゾおじさんとルーシーおばさんは、40年もそう言ってるけど、なかなか実現しないんだとか。
その気持ち、彼には、今ひとつ分かりません。
「ここが、世界一、いい所なのに」
非常事態・発生!
ある晩、思いも寄らない状況になりました。
彼とルーシーおばさんは、世界一、いい所を離れなくてはなりません。
「どうしよう」
途方に暮れていると、ルーシーおばさんが、あることを思いつきました。
「ロンドンで、新しい家をお探しなさい」
彼は、心細くてたまりません。
「知り合いも、いない。クマは嫌われるかも」
ルーシーおばさんは、こう励ましました。
「昔。探検家の国で、戦争があった時。
大勢の子供たちが、旅に出されたの」
「あの国は、よそ者に優しいはず。
気をつけてね。お行儀よくするのよ。
どうか無事で」
こうして彼は、たった1人で、ロンドンを訪れる旅人になったのでした。
お行儀よく挨拶する姿に、涙がとまりません。
幸運にも、ロンドンのパディントン駅に、たどり着けました。
駅のホームは、たくさんの人が足早に往来しています。
小さなクマが、お行儀よく挨拶しても、誰も答えてくれません。
挨拶を続ける彼の顔に、知らないおじさんのカバンが直撃しますが、そのまま行ってしまいました。
・・・もうダメだ。
ずっとこらえていましたが、切なくなった私の目から、ぽろぽろと涙がこぼれます。
「LOST & FOUND」の表示。
とっぷりと日が暮れて。
人気のない駅のホームで、しゃがみ込んでる小さな姿。
時計の針は、20時27分。
駅の構内でアナウンスが流れます。
「乗客の皆さん、お荷物を忘れずに。
持ち主不明のものは、処分いたします」
困っていると、列車がホームに入ってきて、4人家族が、歩いてきました。
挨拶しましたが、通り過ぎてしまいます。
「ヘンだな。何か間違えたかな?」
すっかりクタクタになって、座り込んでしまう彼。
ため息をついていると、ゆっくり近づいてくる靴音が・・・。
引き返して、挨拶してくれた人は初めてです。
離れた場所から、家族が彼女を呼びました。
「メリー」
「ママ!」
立ち上がって、もう一度、お行儀よく挨拶する彼。
・・・ああ、よかった。
いたわるような優しいメリーさんの言葉に、私は涙をぼろぼろ流してしまうのでした。
この場面、本当に大好きです。
心細くてたまらない時、『パディントン』を観ると元気になれます。
パディントンの身長は、107cm。
勝手に、5才位の男の子、だと思い込んで、ブラウン家に落ち着くまで、何度も泣いてしまいました。
よく考えたら、あんなに紳士的な5才児は、いませんね。
彼が何才でも、いい子だなと思います。