仕事に、恋に、家族のかたち。
人生に大切なものがたくさん描かれている、この作品。
おいしそうなスイーツも、たくさん登場します。
『幸せのレシピ』は
2007年に作られた、アメリカ映画です。
監督は、スコット・ヒックス。
出演は、キャサリン・ゼタ=ジョーンズ、アーロン・エッカート、アビゲイル・ブレスリン、パトリシア・クラークソン、ジェニー・ウェイド、ボブ・バラバン、ブライアン・F・オバーン、アリヤ・バレイキスほか。
脚本は、キャロル・フックス。
音楽は、フィリップ・グラス。
原題は『No Reservations』です。
ドイツ映画『マーサの幸せレシピ』のリメイク作としても話題になりましたね。
ニューヨーク。マンハッタンのレストラン、22 BLEECKER。
厨房を取り仕切る料理長のケイトは、自分の仕事にプライドを持っています。
時として、まるでハリネズミのように、尖った態度になることもありますが・・・。
冬のある日を、境にして。
彼女の世界が、更に激変するような出来事が、次から次へと起こり・・・。
ティラミス。
急を要する状態だったとは言え、下校時刻のお迎えに、大幅に遅れてしまったケイト。
姪っ子のゾーイは、独りぼっちで寒空の下、学校前の階段に座り込んでいました。
お詫びに、ゾーイの願い事を叶えることになるのですが・・・。
この場面に登場するのがティラミスです。
ひょっとしたら、ゾーイの顔より大きいのでは?というサイズの、四角いプラスティック容器。
そこには、副料理長のニックお手製のティラミスが、たっぷり。
もしも甘いモノがお好きでしたら、こんな誘惑に駆られたことってありませんか?
半分に割ったスイカを、スプーン片手に独り占めして食べること。
ファミリーサイズのアイスクリームを、丸ごと1人で食べること。
私のバカげた夢の1つは、ホールケーキを丸ごと食べること・・・。
子供の頃から「叶うといいな」と思ってるんですが、なかなか実現しませんね。
そんな私にとって、でっかい器いっぱいのティラミスなんて、まさに夢のよう。
ましてや。
それを作ったのは、有名なレストランから引く手あまたのイタリア料理の名手です。
「甘いのは苦手」と言っていたケイト。
ニックの「僕のティラミスは特別」という言葉に続いた場面で浮かべた表情も、とっても魅力的でした。
「これは好きかも」と言うケイトに、ニックはおどけたように「僕の願望」を、口にします。
「ティラミスの意味は、神々の食べ物」
パンケーキ。
ある朝、ニックが木べらで小鍋を叩きながら、ゾーイを起こします。
「パンケーキ・ターイム!
パンケーキ・タイム」
「wake-up ! 」じゃなくて
「Pancake Time ! 」で目覚める朝。
なんて幸せな響きでしょう。
食いしん坊の私だったら、おそらく飛び起きてしまうんだろうな。
この映画では、重要な2つの場面に登場する、パンケーキ。
ケイトにとって、22ブリーカーの厨房は私の人生であり私のすべてでした。
ニックの初登場時、彼女のコンディションは最悪だったと思います。
心を開くことなんて、とうてい無理な相談だったでしょう。
原題の『No Reservations』を直訳するなら、「予約がない」とか「遠慮がない」とか「秘密がない」とか、でしょうか・・・?
どうして『幸せのレシピ』という邦題になったのか、私は知らないのですが・・・。
ケイトは、たくさんルールを持っています。
レシピとは、何をすべきか書いてある本、とも言えるのではないでしょうか。
彼女の予測がつかない事柄を恐れているようにも見えるその姿に、しばしば私は共感を覚えてしまうのですが・・・。
もしかしたら、ケイトの幸せのレシピは、パンケーキなのかも知れません。
『幸せのレシピ』を観て、キャサリン・ゼタ=ジョーンズが大好きになりました。
ある出来事をきっかけに、だんだん柔らかくなっていくケイト。
私まで嬉しくなって、なんだか幸せな気分になれるのです。