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優しくできる間に、優しくする事ができたなら、それは一番の幸せなんだな・・・と、考えるようになりました。
『岸辺の旅』は
2015年に作られた、日本とフランスの合作映画です。
監督は、黒沢清。
出演は、深津絵里、浅野忠信、小松政夫、柄本明、奥貫薫、首藤康之、蒼井優ほか。
脚本は、宇治田隆史、黒沢清です。
瑞希は、ピアノを教えています。
この日レッスンした子供さんのお家は、もう2年。
突然、夫の優介が、どこかへ消えてしまってからは、3年が経っていました・・・。
心の傷の、なおしかた。
優介は、歯医者さんだったんですね。
途中まで明かされませんが、いろんなモノをなおす場面は、印象に残ります。
いろんな場所で、いろんな人と、いろんな出会いをした優介は、あちこちで器用な人だと言われてるんですが・・・。
観ている私には、今一つ、腑に落ちないのです。
妻の瑞希が、そう言われてる優介のことを、不思議そうに感じているから、かも知れません。
何かが起こったとき、善悪ハッキリつけられる事なんて、もしかしたら無いのかも。
優介は自分が壊れたときのことを、こう言いました。
「あのころ、病気だったんだろうね」
「運が悪かったんだろうね」とも言いました。
やれることは、なんでもやってみよう。
瑞希は、まず「私のせい?」と聞きました。ずいぶん捜していたのです。
お寺とか、教会とか、大きな公園、河川敷にも行きました。
「それしか、しようがなかったの」
稲荷神社の祈願書も、束になるほど書いてたんです。
「配偶者の無事を祈願するなら、これを100枚用意しなさい」って、宮司さんに言われたから。
「やれることは、なんでもやってみよう」って、一生懸命だったんです。
これは、再生の物語。
この映画を観て、強く思い、考えました。
せめて。
大切に思う人の時だけ、でも構わないので。
その人の身に起きる一大事。
肝心要の、ここ一番のタイミングを、ハッキリくっきり感知できる能力を持つことができたなら、どんなに良いことだろう。
感知できたからといって、最善策をとれる確証は、残念ながらありませんが・・・。
せめて優しくできる間に、優しくすることが出来たなら・・・。
それは、いちばん幸せなことなのかも知れません。
なにか悔やむことがあったとき。
それでも、そこからもう一度スタートする。
再生の物語だ、と感じました。