映画【小さいおうち】その時代を知らないのになぜか懐かしさを感じてしまう不思議で素敵な映画

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平成と昭和。
2つの時代が描かれています。

あの頃をノスタルジックに描写することで、秘められた核心がより際立つ、巧みな作品でもありました。

『小さいおうち』は

2014年に公開された、日本映画です。
監督は、山田洋次。
出演は、松たか子、黒木華、片岡孝太郎、吉岡秀隆、中嶋朋子、室井滋、橋爪功、吉行和子、倍賞千恵子、米倉斉加年、妻夫木聡、小林稔侍、夏川結衣、木村文乃ほか。

原作は、中島京子の直木賞受賞作『小さいおうち』。
脚本は、平松恵美子と山田洋次監督が、共同執筆しました。

布宮タキは亡くなる際、大甥にあたる荒井健史に、いくつか遺します。
タキの秘められた思い出が記された自叙伝も、そのひとつでした。

時は、昭和のはじめ頃まで戻ります。
タキは、東北から上京して、女中奉公に上がりました。
時子奥さまは聡明で美しく、タキにも優しく接してくれます。
モダンな赤い屋根の、小さいおうちでの毎日は、忙しく大変ではありますが、穏やかに流れていきました。

ある日のこと。
旦那さまの会社の新入社員で、芸大を卒業した板倉という青年が、小さいおうちへやって来て・・・。

ノスタルジーが、あふれています。

タキが上京したのは、昭和初期。
動乱の時代が、すぐそこまで迫っています。
けれども自叙伝には、郷愁を誘う、甘く切ない想いがあふれていました。
晩年のタキを演じたのは、倍賞千恵子です。

若かりし頃のタキは、黒木華が演じました。彼女の魅力のひとつは、ノスタルジックな印象ではないでしょうか。
古風な雰囲気なんて、簡単に出せるものでもなさそうなんですが・・・。
彼女の演じるタキには、昭和を感じます。

私も昭和初期のことは、よく分からないのですが・・・。
映画のなかの建物や調度品など(当時を知らないのに)「懐かしいなあ」と、感傷的になってしまいました。

細かい設定も秀逸なのです。

時子奥さまの愛読書は『風と共に去りぬ』。
1936年に、アメリカで出版されました。
和暦でいうと昭和11年。タキが上京した頃になります。

西洋風のモダンな建物の、平井家。
母のように姉のように、優しく導いてくれる時子。
ボクトツな好青年であり、ハイセンスな趣味を持つ、板倉正治。

タキの環境が、どんなに激変したのか、どれほどの影響力だったのかを思うと、ツラい恋の物語なのかな・・・と、ついつい緊張してしまう、実に巧みな作品です。