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この映画は、頭の中をフル回転させても追いつけない、ノーラン監督の代表作のひとつです。難解かつ、壮大なスケールのSF映画であり、アクション映画でもあります。
が。恋愛映画としても一級品なのです。
『インセプション』は
2010年に作られた、アメリカ映画です。
監督は、クリストファー・ノーラン。
出演は、レオナルド・ディカプリオ、渡辺謙、ジョゼフ・ゴードン=レヴィット、マリオン・コティヤール、トム・ハーディ、エレン・ペイジほか。
音楽は、ハンス・ジマー。
原題は『INCEPTION』
波打ち際に、ひとりの男性が、打ち上げられています。
夢かうつつか、モウロウとする彼の目に、砂浜で遊ぶ子供たちの姿が、現れ消えて・・・。
見慣れない武装をした男性が、横たわったままの彼を発見し、大きな声で仲間を呼びました。
砂浜の向こう、ゴツゴツとした岩の断崖の上に、荘厳な天守閣をもつ城と仲間の姿が・・・。
担ぎ込まれた彼は、待ち受けていたヨボヨボのおじいさんから、「私を殺しに来たのか?」と問い掛けられて・・・。
「ちんぷんかんぷん?」でも、無問題。
意味も伏線も、散りばめられ放題です。
ちょっとでも考えようものなら、あっという間に置いてきぼりを食っちゃいます。
場面も状況もパパッと変わるので、感じるままに流されてしまいましょう。
だんだん流れに慣れてきて、途中から間違い探しや答え合わせをする余裕が出てくるんです、痛快なんです。
「モル」には、ご注目くださいませ。
マリオン・コティヤールが演じる、謎めいた女性、モル。
もし、この女優さんをご存知なくっても、明らかに意味深な登場するので、目が離せなくなるのでは?
いつしか画面に写っていなくても、「もしかしたら、居るんじゃないかな?」って、意識してしまうくらいです。
そして、彼女を見るコブの表情が、他とは全く違うのです・・・。
「コブ」が幸せかどうか、がキーポイント
『インセプション』の鍵を握っているのは、レオナルド・ディカプリオが演じるコブ、だと思っています。
一般的に映画の主人公は、胸の内に秘めた思いや心象風景など、いわゆる心の声的なものが駄々漏れなキャラクター、だと思うんです。
今、何を思っているのか?
これまで、どんな事があったのか?
映画の中はどんな世界なのか、主人公から想定したりしませんか?
コブは雄弁です。
セリフの多いキャラクターなんですが、言葉を理解しようとしても、混乱の渦に陥れられてしまいます。
ありていに申しますと「説明してくれても、よくわからん」のです。
さりとて。
コブは(隠してるのかも知れないけれど)表情までも、まことに雄弁。
どんな過去があって、どんな葛藤を抱えているのか、はぐらかされたり話してくれたり。
結果的に、よくわからん場合も多々ありますが、実に表情豊かな人物です。
コブの相棒アーサーが、モルに銃で、足を撃たれるシーンが、序盤にありました。
その時の、コブの表情。頭から離れません。
いつも唐突に登場して、コブを翻弄する、モル。
そのたびに、苦しそうだったり、嬉しそうだったり、なんとも言えない複雑な表情を浮かべたりする、コブ。
難解かつ壮大なスケールの、SF・アクション・サスペンス大作です。が。
コブが、心から願っていることは、叶うのか?
望んでいるものは手に入るのか?が、最大の見所でもある映画です。