映画【ギャラクシー街道】おそらくコメディ映画じゃなくて多様性についてマジメに考える作品なのでは?

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「SF映画史上最も笑えるスペース・ロマンティック・コメディ!」
という、三谷幸喜監督作の『ギャラクシー街道』。

もしかしたら、ロマコメじゃないのかもしれません。

私は、三谷作品を全て観てるワケじゃないけど、これまでのコメディとはなんだか違う感じがします。

本題に入る前に、サラッとおさらいしてみますね。

『ギャラクシー街道』って?

近未来。
宇宙に浮かぶスペースコロニー「うず潮」と、地球を結ぶスペース幹線道路、通称ギャラクシー街道は活気にあふれておりました。
が。開通して150年を経た、今では。
あちこち古くなってきましたし、別のルートも整備されてるようで、すっかりさびれたギャラクシー街道。閉鎖の噂も出ています。

そんな街道沿いにある、ハンバーガーショップを舞台にした、異文化コミュニケーションをテーマにした映画でもあると思いました。

登場人物は、全員宇宙人。

映画のなかの世界でも、どうやら主流は二足歩行。
トンガリ耳だったり、カラダの色が様々だったりしますけど、基本的には言語を操り歩いてますね。地球人だと言われなければ、見分けがつかない。
と言うよりも。地球人だって宇宙人なんですよね。

ハンバーガーショップの、店長さんと奥さん。

どうやら大手チェーンの1店舗を任されてる、店長さんのようですね。
ハンバーガーに対する愛が、ひしひしと感じられて、私の食欲は暴走しまくり腹ペコです。

旦那さんのノアも、奥さんのノエも、お互いに不信感を持っていて、なんだかギクシャクしてるんです。
ふたりは地球人同士だし、結婚して5年だし、元々同じ劇団に所属してたんですが。
お互い腹を割って話し合うのは、最後の最後なんですよね。

こじらせてる人のオンパレード。

『ギャラクシー街道』は、グランドホテル方式の映画なんだそうです。

いろんな人が入れ替わり立ち替わり、さまざまな人間模様がひっきりなしに展開する群像劇なんですね。
三谷監督お得意の表現技法のひとつです。

遠藤憲一さんは、スペースリフォーム業者。

謎のストーカーかと思いきや、リフォーム業者だったメンデスさん。
何星人だったか、私は忘れてしまったんだけど・・・。
綾瀬はるかさん演じるノエは、ばっちり覚えていましたね。

後になって、三谷監督のコメントを読んだ私、ビックリしました。

どうやらノエは設定上、旦那さんがいながら、メンデスのことが好きなんだそうです。

えっ?
そうなんだ・・・!
監督のリップサービスかもしれませんが、そういうことならメンデスさんは、こじらせてるワケじゃないのかも?
ん~、どうなんでしょう・・・。

私から見たメンデスさんは、やっぱりとっても困った人。なんですけども、憎めないキャラクターでもありました。

小栗旬さんは、スペースヒーロー。

スペース警備隊のハトヤ隊員も、印象深いキャラクターです。
地球人かなって思ってたら、とんでもなく遠い人でしたね。
正義の味方なのに、踏んだり蹴ったり。さんざんな目に遭う、スペースヒーロー。

多分、誰にも言っちゃいけない秘密を、お世話になった隊長や愛する恋人に告げるんです。(あ、いや。恋人に言っちゃうのは別の人、になるのかな。)

ハトヤ隊員のまっすぐな瞳が、たいへん誠実で魅力的なんだけど、相手に届いてない響いてない感が半端ない。
古今東西、お気の毒なヒーローは意外にたくさん存在しますが、おそらく上位入賞、間違いなしでしょう。

意外な生命体も登場します。

なるほど、そういうことなんだ!という生命体の登場は、巧いなあって思いました。

そのひとつは、浅野和之さん演じる謎の男
全身、白塗り・白い服。手には、赤い風船を持ってます。
おまけに、ほとんどしゃべらない。不気味というか、異様というか。

段田安則さん演じるスペース役人を惑わせる、キーパーソンなんです。が、私の大好きなキャラクターを連想してしまいました。

くまのプーさん。

私はくまのプーさんが大好きです。見てるだけでも、気分は上々なんですが。

人によっては、くまのプーさん=丈の短い上着を着た、クマのぬいぐるみ、でしかない。
じゅうぶんヘンテコです。

『ギャラクシー街道』に登場する謎の男だって、赤い風船を持ってるからプーさんを連想しただけかもしれません。

どんなに不気味でヘンテコなキャラクターでも、好きだなって思えると、いろんなことが肯定的に受け止められたりしませんか?

とは言うものの。
『ギャラクシー街道』には、意味不明な登場人物も多くって、何とも言えない気分にもなるんですが・・・。

それもこれも引っくるめて、多様性について真面目に考えてしまう作品でした。

『ギャラクシー街道』は

2015年に公開された、日本映画です。
脚本と監督は、三谷幸喜。
出演は、香取慎吾、綾瀬はるか、小栗旬、優香、西川貴教、遠藤憲一、段田安則、石丸幹二、阿南健治、梶原善、浅野和之、山本耕史、西田敏行ほか。

コンセプトデザインは、種田陽平。
音楽は、荻野清子です。

私が一番、意外だった生命体は、ネタバレになるので秘密にしますね。
ヒントは『ギャラクシー街道』です。
エンディング曲を歌ってるのは、スペースシンガーのズズを演じた西川貴教さん。
途中、くぐもるような歌声が宇宙空間に流れるシーンがありますが。
宇宙で音漏れなんてするはずないのに、それでも聴こえたってことなのかな?