映画【ショーシャンクの空に】あのとき響いた『フィガロの結婚』のように心が澄み渡る感動作

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どこまでも見渡せるような、前途洋々たる未来
それが一転して、身の毛もよだつ人間の本質が、さらけ出された所に囚われてしまったら・・・。

人間らしさを主題にした、作品だと思います。

『ショーシャンクの空に』は

1994年に作られた、アメリカ映画です。
監督は、フランク・ダラボン。
出演は、ティム・ロビンス、モーガン・フリーマン、ウィリアム・サドラー、ジェームズ・ホイットモア、ボブ・ガントン、クランシー・ブラウンほか。

スティーヴン・キングの『刑務所のリタ・ヘイワース』を基に、ダラボン監督が脚色しました。
音楽は、トーマス・ニューマン。
原題は『The Shawshank Redemption』。

銀行の副頭取であるアンドリュー・デュフレーンは、若く聡明で前途有望な男性。
ところが、あるとき彼は、殺人の容疑をかけられます。
「妻とその愛人を、殺してなどいない」
無実を主張するも聞き入れられず、投獄されてしまうのですが・・・。

悪い人だらけで、泣きたくなります。

罪悪って、何なのでしょう?

本来ならば、いたってシンプルな問いだと思いますし、そうでなければ困ります。

ショーシャンク刑務所には、人の姿をした魔物が、ごまんといました。

ティム・ロビンスが演じるアンディは、入獄して間もない頃から、むごい扱いを受け続けます
繰り返し、執拗に。

人間の尊厳なんて、彼らの前では紙屑も同然かのようです。

なおいっそう絶望的なことに、血も涙もない行いをするのは、受刑者に限りません。

この映画では、刑務所長や刑務官でさえ、極悪非道なのでした。

誰にも奪えないもの

地獄で仏に会ったよう、という成句がありますね。

アンディにとっては、レッドであり、自らのスキルだったのではないでしょうか。

モーガン・フリーマンが演じた、調達屋と呼ばれるレッドは、やっかい事から距離を置く、頭の切れる人です。
これまで何度も、仮釈放を願い出ていますが、却下され続けていました。

私の目に映るレッドは、悪い人ではありません。
物語が進むにつれて、アンディとレッドは、昔ながらの友人のように、思えてきます。

アンディが、誰にも奪えないものがあることを話す場面は、忘れられません。
それは・・・。

一枚のレコードが、もたらしたもの

アンディは、自らのスキルを駆使して、苦境に立ち向かい続けます。

図書係に配置転換される経緯も、名場面ですが・・・。

長年に渡る、州議会に対する要望を経て。

『フィガロの結婚』にまつわる、一連のくだりは、とても印象的ですし、屈指の名場面のひとつでしょう。

アンディは、誰にも邪魔させないように鍵をかけ、『フィガロの結婚』のレコードを、刑務所中に聴こえるようにしました。

多くの受刑者と同じように、それまで私もオペラを聴いたことは、ほとんどありません。
それでも。
なんと清々しく晴れやかな気分になれたことでしょう。

『ショーシャンクの空に』を初めて観たのは、ずいぶん前になりますが、このとき感じた気持ちは、今でも色あせる事がありません。

人間の本質を問う、重くて深いヒューマン・ドラマであると同時に。
観たあとの、爽快感が格別な作品です。