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『ミロクローゼ』とは?
何が起こるか予測もつかない、なんでもありな映画です。
おとぎ話のような、お悩み相談バラエティのような、きてれつ時代劇のような。
登場人物のセリフやしぐさ、シチュエーション。いしょうも斬新で独特で。
すみからすみまで目が離せません。
ワンダーランドに迷いこんだら、こんな気分になるだろうなって思います。
熊谷ベッソン。
映画を観てる間、「えっ?」とか「はっ?」とか、言いまくる私。
ベッソン・ダンス。
圧巻だったのが、山田孝之さん演じる熊谷ベッソン(くまがい べっそん)のダンス。
度肝を抜かれるって、こういうことなんだ。
なんて表現したらいいんでしょう。
まぎれもなくカッコイイんですけど、おもいっきり奇抜。
ベッソン・ダンスは、リズミカルでダイナミックで。最高にクールなんだけど、面白い。
山田孝之さん、すごく練習なさったそうです。仮に私が厳しいレッスン受けたところで、格好良く踊れないに決まってます。
もともとダンスのセンスもお持ちなんでしょうね、きっと。
ほんとに素敵でした。
青春相談室。
青春相談員の熊谷ベッソン。
彼の相談室には、恋の深刻なお悩みで困ってる青年諸君からの電話が、ジャンジャンかかってくるんです。
青年男子のお悩みに、バカだのクズだの強めの言葉を連発しながら、意外にも親身に答えるベッソン先生。
熊谷ベッソン相談所の電話番号、フリーダイヤルでしたね。
良心的だな、ベッソン先生。
多聞とタモン。
『ミロクローゼ』は、約90分の映画です。
その半分以上は、片目の浪人多聞のお話。
この作品は、山田孝之さんの一人三役も話題になりました。
でも私には、一人四役に思えます。
多聞もタモンも個性的で、まるで別人みたい。
タモン。
タモンの初登場シーン、ヨーロッパみたいな街並みを歩いてましたね。
黒のスーツに白シャツで、まさしくおしゃれ上級者。
恋のチャンスも逃さない。
彼が、両手に抱えきれないほどの花束を買う場面、とっても好きなんです。
おしゃれ上級者だし、恋のチャンスも逃さない伊達男なんだけど、照れくさそうにはにかむしぐさや表情が、なんとも愛おしい。
お代が二両って聞いたときのタモンも好き。
多聞。
タモンと多聞は同一人物。
彼は時空を飛び超えながら、最愛の恋人を探して放浪しています。
多聞は片目の浪人なんですけど、左目を失ってしまう件も巧みでしたね。
『ミロクローゼ』は不思議な映画なんです。
多聞のパートは、時代劇みたいだったり西部劇みたいだったり。昭和っぽいかと思えば今風っぽい。
天柘楼(てんざくろう)での大立回りは、歌舞伎のような見応えでした。
オブレネリ ブレネリギャー。
見た目はこどものオブレネリ ブレネリギャー。
彼の冒険のお話は、かわいらしさもずば抜けてます。
私の、お気に入りのひとつは・・・。
人生が一変する前の、こんなシーン。
月曜から金曜までは、会社に出勤するんですけど。性格的な問題で、サクッと通勤できません。
週末は暇なので、家でゴロゴロしたり、机のササクレめくってツルッツルにしたり、スーパーに買い物に行ったり。
ごく平凡でのどかな週末を過ごすのです。
7才くらいの男の子、オブレネリ・ブレネリギャーを演じたのは下地幸多くん。
どうみてもこどもなんだけど、『ミロクローゼ』の世界では、大人と同等なんです。
グレーのコートに身を包んだ、たくさんの大人たちに交じって駅のホームで並んだり。
親友のベランドラ ゴヌゴンゾーラとのエピソードも、私の気持ちをガッチリつかんで離してくれません。
ベランドラ・ゴヌゴンゾーラは猫なのかな?
オブレネリが新聞を読む前、テーブルの下を超高速で走り抜けていったのは、ベランドラですよね?
このあと。
偉大なミロクローゼが登場して、思いもよらない展開になり、件の鍋ぶたに繋がります。
偉大なミロクローゼ。
マイコさんが演じた偉大なミロクローゼは、神々しいまでに美しい。
ミロクローゼというのは、石橋監督の造語なんだそうですね。
私が勝手に思うに、おそらくミロクローゼ=愛するひと、じゃないのかな。違うかな。
ヤクルトジョアとネクターの場面も、大好きです。
イショウも素敵。
石橋義正監督による映画美術も素晴らしい。
美術デザインは、江村耕市さんと舩引亜樹さん。
衣装を担当されたのは、天野恭子さんや江村耕市さん、シマダタモツさん等々。
映画は総合芸術と言いますが、ほんとにそうだなって思います。
衣装
多聞が登場するパートの、着物はどれも素敵ですし。
ベッソン先生のときの、新幹線のお姉さん。制服の青が、とても映えてました。
印象的だったのは、オブレネリ・ブレネリギャー。
オレンジの髪に、黄緑色を基調としたアーガイル柄のセーター。ショッキングピンクが目を引く格子縞のズボンに、緑色の靴下。
ああ、美的センスのない私。
魅力を全くお伝えできない自分に、心底ガッカリだ。
ほんとにポップでキュートなんです。
意匠
タモンが歩いてた町並みは、オブレネリ・ブレネリギャーが立ち寄る公園からの眺めに、よく似てました。
(史上最悪の計画を決行した場所にも似てる)
オブレネリ・ブレネリギャーが通勤で利用する駅のホームから、熊谷ベッソン相談所の屋外広告(看板)が見えてましたね。
天柘楼での大立回り、どうやって撮影したんだろう。
どれも色とりどりだし、手が込んでるし。
観ている私もワクワクと心が躍ってしまいます。
鍋ぶたのグラデーションも素敵なんですけど、山田孝之さんバージョンでは体格に合わせて大きめの鍋ぶたになってませんでした?
細かいところまで楽しめる、何度も観たくなる作品なのです。
『ミロクローゼ』は
2011年の、日本映画です。
監督・脚本は、石橋義正。
出演は、山田孝之、マイコ、石橋杏奈、原田美枝子、鈴木清順、佐藤めぐみ、岩佐真悠子、椿かおり、下地幸多、奥田瑛二ほか。
ナレーションは、美波。
美術は、石橋義正。
音楽は、石橋義正、久保田修、生駒祐子、清水恒輔。
主題曲は、ONE OK ROCKの『Lost and Found』です。
マイコさんだけじゃなく、原田美枝子さん、佐藤めぐみさん、石橋杏奈さん・・・。私にとっては、どの方もミロクローゼだなあ。
オブレネリ・ブレネリギャーのお話は、声に出して読みたくなるシナリオでした。ナレーションの美波さん、大変だっただろうな。