【駆込み女と駆出し男】微妙に変化していく信次郎&じょご。大泉洋と戸田恵梨香の掛け合いも絶妙。

信次郎さんとじょごの初対面、最悪のタイミングでしたね。

そのあとも。
距離感が独特な信次郎さん。
警戒しまくる猫みたいな態度を取っちゃう、じょご。

これから先どうなるの?
目を凝らし、耳をそばだててしまう私。

話し合うことで切り開ける未来もある。
じょごと信次郎さんの関係性、素敵だなぁと思いました。


駆込み女と駆出し男

『駆込み女と駆出し男』の、あらすじをザックリご紹介。

1840年代、江戸時代後期の縁切り事情が描かれている、この映画。
世相や人物・建造物など、実在するものをモチーフにしたフィクションですね。

鎌倉にある、東慶寺。
ここは、どうしても離縁したいと望む女性のよりどころ
江戸幕府公認の駆込み寺だったのです。

ある朝、駆け込んできた二人。
お吟さんとじょごでした。

七里ヶ浜の鉄練り・浜鉄屋を出た、じょご。
日本橋の金物問屋・堀切屋を後にした、お吟。

夜の闇にまぎれて抜け出し、夜道で行き合った彼女たち。
そういう巡り合わせだったのか、一緒に東慶寺への駆込みを目指します。

追っ手がかかっていると言う、お吟さん。
お寺まであと一歩のところで、不審な人物が近づいてきました。
じょごが必死になって撃退した、その人こそ。
御用宿・柏屋に縁がある、信次郎だったのです。

「駆込み」についてもザックリ

なんとか無事に、東慶寺に駆け込めた!
とは言え、誰もがスムーズに離縁できる訳じゃありません。

まずは門前に数軒ある、御用宿での聞き取り調査。
事情を話したあと、お宿が相手を呼び出します。
東慶寺には寺役所があるんですね。
今でいう裁判所のようなものかしら。

相手が離縁状を出してくれたら、一件落着。
離縁状どころか呼び出しにすら応じない場合、決められた期間お寺に入り、年季が開けたら離縁成立。
というシステムだったようです。

お吟さん、じょごの順で二年間、お寺に入ることになりました。

今回、クローズアップした登場人物。

男女問わず、さまざまな事情を抱えた人々が、たくさん登場しますね。
思わず感情移入してしまう人物もいて、彼らの物語に引き込まれました。

今回、注目したのはこの二人

信次郎

信次郎さんは、東慶寺の御用宿、柏屋の居候です。
柏屋の主、三代目柏屋源兵衛の甥にあたります。

信次郎さんは、江戸の高名な医師を師匠に持つ、お医者さん見習いであり。
駆出しの戯作者でもありました。
立ち回りがキーポイントなの、巧みだなぁ。
とっさに書き付けてたのは、戯作のための覚え書きかな。

戯作というのは、娯楽小説のことなんだそう。
江戸に暮らす人々のみならず、各地で多くの読者を魅了してました。

『駆込み女と駆出し男』の冒頭は、天保十二年。
質素倹約の令がたびたび出され、まるで重苦しい空気に包まれたよう。
法に反したと、罰せられる女性たち。
野次馬のフリして、ご政道に物申す信次郎さん。
強烈な印象で、頭から離れません。

序盤の信次郎さんはしゃべり倒すという印象が強いんです。
もちろん、人の話を聞かない訳じゃないけれど。
相手の返事を待たないで、やつぎばやに言葉を浴びせるようなイメージでした。

そんな信次郎さんを、やんわりいさめたのが源兵衛さん。
じょごがゆっくりゆっくり話し始めたのに、信次郎さんが急かしたんです。

あの時の、源兵衛さんの一言がなかったら。
その場に居合わせたのが、じょごじゃなかったら。
まったく違うラストシーンになってたんでしょうね。

じょご

お国なまりで話すところも、かわいいな。
今や方言は、魅力的な個性のひとつですが。
数年前まではイジられる要素のひとつでもありましたね。

彼女がたたらを踏む場面を見た私。
もしかしたら石見銀山に縁があるのかしら。
じょごの言葉は、島根でも使われる方言なんだな。
なるほど、夫がやさぐれるほど浜鉄屋に必要とされる、鉄練りのエキスパートなのね。
こんなに考えてしまうくらい、じょごに興味を持ちました。

お吟さんと信次郎さんは、じょごにお国なまりを尋ねますね。
そして重要な場面で、上手に使うんです。

どちらも素敵なシーンだったなぁ。
話し合うことの大切さを痛感しました。

渓流で待ち合わせる二人

じょごは、読み書きが得意な方じゃなかったんです。

お寺に入って、みんなで般若心経を上げる場面。
経本を渡されても、じょごには読めませんでしたね。
難しい漢字が並んでたんだと思います。
初見で読むなんて、とても無理。

じょごは御端格で入山

映画では、東慶寺に入ることをお山入りと言ってました。
お山に入るとき、三つの格付けがあることも。

じょごは、一番下の御端格(おはしたかく)を選びます。
いっさいがっさいの雑用に追われる毎日。
忙しいはずなのに、立派な薬草園を作ってました。
見事な薬草日記も書いてましたね。
お山入りしたあと、懸命な努力で、読み書きを習得したんだろうな。

薬草日記を交換する……。

信次郎さんは、東慶寺へ代診するようになりました。
お山は男子禁制です。
じょごが、そおっと信次郎さんに渡した文。
味のある文字が並んでて、ほっこりする私。

薬草園も薬草日記も、じょごの真心がこもっていて素敵。
胸がいっぱいになったのは私だけじゃなく。

信次郎さんが、じょごを見つめたり目をそらしたり、言葉に詰まりながらも伝えた一言。
素晴らしくて敵わないと思いました。

『駆込み女と駆出し男』は、2015年に公開された、日本映画です。

【監督・脚本】原田眞人
【出演】大泉洋、戸田恵梨香、満島ひかり、内山理名、陽月華、キムラ緑子、木場勝己、武田真治、堤真一、山﨑努、樹木希林ほか。

はろこ

信次郎さんが素敵で、大泉洋さんのはまり役だなと思いました。
じょごの夫は初登場時、一方的にひどい言葉をぶつけます。
彼女を軽く見ていて、ほとんど会話になりません。
じょごの夫を演じたのは、武田真治さん。
序盤の横暴な夫が、終盤に見せる表情、すごかったなぁ。