映画【フォーカス】名演技すぎてどこまでフェイクか混乱するクライム・ロマンティックコメディ

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ウィル・スミスに、マーゴット・ロビー。
優れた俳優から、巧みに騙しかけられては、防ぐ手段がありません

道徳的観点からすると、いかがなものかな場面もありますが、そんな心の動きもまやかす巧妙な手腕に、すっかり眩惑させられる作品です。

『フォーカス』は

2015年に作られた、アメリカ映画です。
監督は、グレン・フィカーラ、ジョン・レクア。
出演は、ウィル・スミス、マーゴット・ロビー、アドリアン・マルティネス、ブレナン・ブラウン、ロドリゴ・サントロ、ジェラルド・マクレイニーほか。

脚本も、グレン・フィカーラ、ジョン・レクア。
音楽は、ニック・ウラタです。

真冬のニューヨーク。
予約の取れないレストランを、すんなり攻略したニッキー
人間観察しながら、ひとりディナーを楽しむ彼の元へ、ひとりの女性がやって来ました。
「しつこく誘われて困ってるの。今だけ彼氏のフリをして。」
ジェスと名乗った彼女と、すっかり意気投合したニッキーは、彼女の部屋にお邪魔します。
いい雰囲気になったところで、いきなり乱入してきた彼女の夫だという男に、銃口を突きつけられて・・・。

おっかない手口のオンパレード。

ニッキーは、悪いおこないのスペシャリスト。
スリを働く手さばきは、まるで手品を見ているようです。

絶体絶命のピンチに追い込まれても、動じない冷静さ。
相手の心を先読みして、行動を予測する能力にも長けています。

ジェスから「極意を教えて」と頼まれて、分かりやすく説明するニッキー。

注意(フォーカス)をそらすこと。
スリの極意は、これに尽きる」と。

卑劣で非常識な、たちの悪い犯罪行為なんですが、私のモラリティも、盗られてしまったのでしょうか。

チャーミングな新米詐欺師。

ジェスは彼に、自分の生い立ちを話します。

「施設育ちで、詐欺師のプロじゃない」
「娼婦にならなかったのは、奇跡」
「色仕掛けは、才能がないの」

彼女は、ニッキーから「旅に出るんだ」と、アドバイスされるんですが・・・。

マーゴット・ロビーの演じるジェスは、頑張り屋さんでピュアな人柄の、とても魅力的な女性です。

現実には、決して存在しないだろうなと思えるほど、内面も外見も美しい。

彼女が、大声をあげることなく、大粒の涙をこぼしながら泣く場面があります。

そんなことになる経緯の、あのシーンこのシーン。
幸せそうな表情が、心配そうな面持ちが、どれも可愛らしくて、私は心を痛めてしまうのです。

この世界に、情を持ち込むと、どうなるの?

かつてニッキーは、ジェスと一緒にいた頃、彼女に話した事がありました。
パニック・ボタンメローにまつわる、プライベートな思い出です。

ニッキーの祖父は、ハーレムで胴元を、ニッキーの父は、そこでサクラをしていました。

ところが、あるとき。
合図を見破られて、相棒だとバレてしまいます。
銃に囲まれて絶体絶命。
逃げ道は1つ。
その方法が、パニック・ボタンです。

パニック・ボタンとは、急所を外して、相手を銃で撃ち、潔白を証明すること
ニッキーの、父は祖父を撃ちました。

ある時から、父が息子をメローと呼び始めた事も、話していました。

「この世界に、情を持ち込めば死ぬハメになる。
俺が甘ちゃんだからと、マシュマロと呼び始めた」

メローとは、マシュマロから来たアダ名だったのです。

すぐさま、メローの由来に気がついたジェスは、優しく「大きなマシュマロだこと」と声を掛けたのですが・・・。

悪事千里を走る詐欺師を演じたのは、ウィル・スミス。

ニッキーは、スマートでセクシーで、茶目っ気のある悪いヒトです。
どこまでホントで、どこからウソなのか、全く読めません。

映画の中に、こんなセリフがありました。
「注意力は、スリは暗闇のダンス
「脳は物事を、同時に処理できない」

ニッキーは、こうも言っていました。
「注意をそらせば、何でも盗れる。用心を」と。
ほんとに用心です。